星の数だけ

 
あの日から、2年と8ヶ月。
こんな嬉しい日が訪れるとは夢にも思っていなかった。
 
帰宅の道すがら、夜空を見上げ求めるように探し目に映った星に
片っぱしから願いをかけていた。
 
聞き届けてくれることが叶うかのように、必ず星を追いかけた。
目に映る星は疎らで両手の指にも余る。
でも必ず。。
 
「 長くて2年、2ヶ月か数週間先かも・・・今の医学では治療法は
見つかっていません。」
「白血病であれば、まだ治療法もあり完治もありうるのですが。」
 
助からない事が分っていたから、期限の切られた命だったから。
ならば、せめて「どうか苦しむことがないように、痛みで顔を歪めること
がありませんように。。」何度呟いたことでしょう。
 
髪の毛も3度も生え変わり何度か見た坊主頭も、今は綺麗に整髪され
几帳面そのもののヘァスタイル。
 
自分で再生させられない血液が心臓へ送り込まれないため心筋梗塞の
危険が限りなく広がる。そしてその治療に重点をおいていると、今度は
血液のバランスの数値が落ちていく。
交互に体を騙すように宥めるように繰り返される治療。
 
数値が上がったり下がったりを繰り返しながら、間違いなく日増しに悪くなる。
正常な人の血液の中のその数値は3500~9000だとか、それなのに
500の数値が治療中の数値表に記されている。熱も時折40度近くまで
上がる。下がって上がるの繰り返し。高熱による肺炎が怖いが原因は不明。
 
点滴と血圧を計りに訪れて下さる看護士さんに「血圧、血圧って血圧ばっかり
計っても仕方ない!!」って毒ずく言葉。。
 
12月半ばには主治医の先生に、「あと1~2週間くらいだろうか、酸素量が不足
しているためつけている酸素マスクも放せなくなり、寝たきりになるのに長くは
ないでしょう」。
 
それでも年は明けた。2009年。
元々細い身体の人、食欲もなく体重は20㌔近く落ちて、堅い処に座ると骨が
酷く痛むと嘆いてた。2ヵ月前のことです。
 
それでも、それでも本人は、退院したらこれがいる。あれが無いと靴まで通販で
注文し、次の退院を信じて疑わない。
 
つい1カ月前、いつものように病院に訪れた時、目にしたもの。
スーパーの袋から出てきたものは貝割れダイコン、チーズにマヨネーズにロースハム。
食パン二枚に挟んでマヨネーズをクルクルとかけると待ちきれないようにガブリ。
叉、ガブリ。。ハウスの何とかポテトスープ?珈琲も、まだ足りないとパンに手が伸びた。
 
何度、もう駄目だと思ったことか。でも、その度不思議に悪くなりながらも日々は
繋がっていった。
 
一昨日の電話。「退院する」それでも私は一時退院だろうと思ってた。
 
昨日の夜、病院で「何時までの退院?何日まで?」と聞いた私に答えた。
「退院や」
「えぇ?退院?ほんとに?」
「一時も二時も無い退院やって!」
 
この一ヶ月点滴をやめて飲む薬にしたのだけれど、それが身体にあったのか
それとも、何かの効果で良い方向に向かって行ったのか、先にかいた正常な
 
血液バランスの数値が3500から9000の値に対して、何と今5000になり
正常値。体重は7㌔戻り、茶色かった顔色もピンクがさしている。
 
他に飲んでいる物は青汁にローヤルゼリーあと一つか二つ思い出せない。
 
主治医の先生が言われた。「あんたの生命力は凄いわ!!」って
「僕にも何やら訳がわからん。。」この病気においては有名なお医者様の
お話です。
 
私は、星に願いが通じたこと、信じて疑わない。
奇跡?どうか夢でありませんように。。
今夜も疎らにしかない空の星を見上げて呟いた。
「ありがとう、本当にありがとう」
 
4度、あきらめかけた命の灯は確かに灯っています。
 5月11日 月曜日 退院!
 
 
 蕨とラナンキュラス
 
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星の数だけ への4件のフィードバック

  1. kaz より:

    おめでとうございます。ひさしぶりに見たら更新されててそんなことだったとは。。。よかったですね。kaz

  2. Usagi より:

    kaz kazさんありがとうございます。人の運命は摩訶不思議なものだと、つくづく感じました。治療においても、年齢が左右されるのだという事も知りました。60歳と言う年齢を境に、受けられるであろう治療はそれ以前の年齢の方へ譲られるのだと言う事。いずれにせよ、その治療も受けても効果の得られないものでしたが。治療法のない病が、こんなに科学の発達した今の時代にも多々あることが、現実だということが怖いです。また、更新してまいりますので、足をお運び下さいね。

  3. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    Usagiさん、こんばんは~(o^-^)ヾこヾ(^o^-) ん(o^ー^)o ばo(^0^o*)ん(o^-^)ヾはひだまりねっ、Usagiさんが母の日に更新される予感がしていたんですよ。それなにの、それなのに、、、、見落としてしまって、、、、遅くなってごめんねっ(><)ひだまりも嬉しくて、涙が溢れたり、手が震えてしまってパソコンを打つのがやっとやっとです。こんな時、何てコメントしていいのかな。。。とても嬉しくてバンザイしたいくらいな気持ちでいっぱいなのに、なんて説明したらいいのか、、、言葉が見つからないくらい嬉しくて、もう涙が止まらないですよ。。。Usagiさんの大切な人、とても頑張りましたねっ。そしてUsagiさんやたくさんの人の願いが叶って、本当によかったですねっ。 信じる心。。。信じることの大切なを教えて下さって、どうもありがとうございます^^

  4. Usagi より:

    ひだまりさん。ありがとう。ひだまりさんのコメントに、嬉しさが何倍にもなって心に響いています。Usagiってね、信じていて裏切られたという思い出が思い出せないのか、それともないのか良く分らないのだけれど。。。かといって全てが叶った訳じゃない。それ故に今回の予期せぬ出来事は嬉しすぎます。この嬉しさをこんなに自分のことの様に喜んで下さって、どれだけ嬉しいか。年齢が年齢だけに絶望だけが頭の中に居座っていたのですよ。現にね、同室の方は一人、又一人と後を追うように先立たれました。いつもね「次は自分の番や」って言っていましたが、それでも退院の事、考えて色々準備していたくらいだから酸素マスクして苦しい息の下からも「来るなら来い、何も怖いものはない」なんて強がりなのか本心なのか豪語していたのですよ。とにもかくにもお医者様を唸らせたのは素晴らしいことです。ひだまりさん、もう一度一緒に喜んでくれてありがとう。豸^-^*

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